CODAM PCルーム

学費無料、先生がいないプログラミングスクール。42の系列校、CODAM(アムステルダム)をのぞいてきた2019/Oct/19

パリのプログラミングスクール、42についてご存知の方は多いかもしれません。

ディプロマなど卒業時の国家資格がないにも関わらず、学費が完全無料なこと、その独自のカリキュラム、習得技術のレベルの高さから一躍有名となり志願者が殺到、入学試験の申し込み待ちが1年を超える・・・?と言われているパリのプログラミングスクール(コーディングスクール)です。

2013年に設立された42はサンフランシスコにもう1校を設立、その後次々と世界中に系列校を増やしており・・・2019年にオープンしたのがアムステルダムのCODAMです。
42に比べるとまだそれほど知名度は高くないのかもしれませんが・・・
CODAMのオープンデーをのぞいてきたのでレポートしたいと思います。

先生、クラス編成、時間的区切りは一切なし。
新しい校風とカリキュラム

Ecole42と同じコンセプト、カリキュラムで編成されるCODAM。

https://www.codam.nl/

この学校には先生がいなく、クラス編成もありません。
カリキュラムには膨大な数のプロジェクトがあり、それを独自のペースでクリアしていきます。
最初にいくつかのプロジェクトをクリアすると、グラフィック、アルゴリズム、C-Unixプログラミング、Webプログラミング の4つの方向性からどれかを選択、さらにそれぞれのテーマにそったプロジェクト群に挑戦していくことになります。
第一段階を終えると平均4-6ヶ月のインターンに挑戦、その後さらにプロジェクトおよびレベルアップを経て最終インターン。
最終インターンをクリアして全行程終了、となります。
※詳細はサイトに記載されていますのでご参照をば。

およそ3年半が標準、と言われているカリキュラムですが、ペースはそれぞれ自由。
2年で最高レベルまで全行程をクリアする人もいれば5年以上在学する人もいるようです。
休暇を取るのも途中で辞めるのも自由、罰則や学費の請求などはありません。
就職先の制限も一切ないとのことで・・・一貫して「無料で自由」です。

先生がいない学校・・・だけど独学だけでは進めない

教えてくれる先生がいない中で、生徒達は自分たちで調べたり、わかる人に教えを請うなどして、課題をクリアしていきます。
勝手に学習してください、と突き離しているようにも見えますが・・・学校では

「シンプルな言葉で説明できないうちは、その事象を理解しているとは言えない」

とはっきりと明言しています。
黙々と学習するだけではなく、解決策を見つけること、そして理解している人はそうでない人に教え、お互いに協力しあうことで学習理解を深めることが重要なようです。

学校は365日、24時間開いていて、学生は自分のキーでいつでも学校に出入りが可能。
来る時間も、去る時間も自由・・・とはいえ。
一体どんな課題を与えられるのか・・・? 具体的にはわからなかったのですが、プロジェクトをクリアするには学校にいて協業することが自然と必然的になるとのことで。
ほとんどの学生が一日の大半の時間を学校で過ごしている・・・との話に、自由だとはいえかなりハードであることがうかがえました。

入学試験は3ヶ月、必要なのは適性とパッション。

この完全無料のプログラミングスクール、入学金も試験費用も必要ありません。
遠方からのチャレンジで経済的に苦しい場合は、なんと入学試験のための旅費、滞在のための費用も補助してくれるそうです(要相談)。

Piscine(スイミングプール)と名付けられた入学試験の期間は3ヶ月 。
早速「自分で、そして他の人と協業して学習、課題を解決していく」世界に放り込まれ・・・志願者達は寝る時間を惜しんでプロジェクトに励むことになるとのことです。

この3ヶ月の間に志願者達はこの世界が自分に合っているかどうか、そしてこの学校が合っているかどうかを見極めることになるようで。
ハードな試験の途中で抜けていく人も多いようです。

「入学するのに必要なものは?」との質問に
「資格も学歴も何も必要ない、けれど・・・情熱と好奇心は必要だわ」
とはスタッフの談。
確かに、生半可な心意気では入学、在学できそうにないというのが学校を訪れてみての印象です。

オープンデーを案内していた生徒さん、そしてスタッフはこぞってこの学校のことを

「・・・寝る時間、買い物したり家で過ごす時間が恋しくなることはあるけれど」

と笑いながら付け加えつつも

「全く新しい、素晴らしい体験」

と目を輝かせて語ります。

プロジェクトの分布図は膨大な数、そして専門性に分かれる形で。
好奇心と学習意欲に燃え、プログラマーを目指す人にとっては最高に面白い環境と言えるかもしれません。
もちろん人によって向き、不向き、はあるのでしょうが・・・

全ての人に開かれた学習環境を、とはいえ・・・
完全無料、の学校が成り立つ謎

この24時間開いていて、240台のMacを備えたプログラミングスクール。
「何も制約がなく」ひたすら「学習を極めることのできる素晴らしい環境」といえるこのような学校がなぜ成り立つのか、疑問に思っていたのですが・・・

無料をうたうプログラミングスクールについては、実は斡旋された就職先にしか就職できなかったり、途中で辞めると違約金が発生したり、実際は様々な制約のあるところもあると聞きます。

「完全に無料でやめるのも就職先も自由」なこの学校。
一体どうやって成り立っているの? を尋ねてみました。
その返答がこちらです。

CODAMの使命は才能を最大限に発揮できる機会を提供することです。
出身や背景事情に関係なく、誰もが平等に夢を追いかけることができるべきだと信じています。
そんな理由で私達CODAMは学費を全てサポートします。

ではCODAM自体の財源は?
この学校のためにCODAM財団なるものが設立されたとのことでした。
財団を率いるのはオランダの企業 TOMTOM の起業家であり共同創業者である Corinne Vigreux。
「教育、社会的流動性、インクルーシブ性に焦点を当て、資金全てを提供している」とのことでした。

TOMTOMという企業を自分はここで初めて知ったのですが・・・
デジタル地図、位置情報サービス分野での最大手企業の1つであり、リアルタイムマップ作成やナビゲーション技術においてGoogleなどとシェアを競い合う先端技術企業だそうで。
優秀な人材が周辺各国から集まり、自立的に学び、そしてインターンの機会などをきっかけに自発的に自社に入ってくれるかもしれない・・・
理由を憶測するときりがないのですが、学校の設立・運営は企業理念の体現だけではなく、多大な投資に十分に見合うもの、といえるかもしれません。

学校とは? 先生とは?
「あたらしい学校」を作る意味。

噂で耳にして気になっていたパリの42、そしてCODAM。
オープンデーを訪れてナビゲーターさん、生徒さんに直接質問することで色々ともやっとしていた点が見えてきたような気がしました。

「先生がいない」

変化や進化があまりに激しいITの世界で「先人」が先生でいられる時間というのは極めて少ない・・・先生になるというより常に現場にいるもので。
プログラミングスクールに先生がいない、というのはなるほど自然なことにも思えたりします。

では、オンラインスクールや独学ではだめなのか?

この点において、オープンデーで何度も感じたのは
「学校に来て、他者と協業することなしでは先には進めない」
という印象です。
課題だけ見て家で調べて進められるのでは?とも思えるのですが、そうはいかないらしく。
問題を解決する方法の模索、知識と技術のインプットとアウトプット、これらを様々なバックグラウンド、様々な思想思考をもつ他の人々と一緒になって行っていくこと。

・・・あれ、これって「生きていくこと」「社会を作ること」そのものでは・・・?

オンライン上だけでも知識は得られるし、人とも繋がっていけるのかもしれませんが・・・
身の回り、ローカルで培うコミュニケーションがいかに大事か、ということなのだろうなと思いつつ。

学校関連のあまりにひどいニュースや政策・・・
憤るを通り越してコメントもできない思いではあるのですが。
「学校」は「理想とする社会を実現するために子供、若者に未来を託す場」のはずで。
教育の現場全てがこのような形にならう必要はないにしても、こういった選択肢が出身や経済力を問わない、万人にチャンスがある形で増えていくこと、は素晴らしいと思うのです。

残念ながらCODAMでは学生ビザは現在の時点では発行できないらしく、オランダの居住権がなければ学生にはなれません。
でも東京にも42の姉妹校を設立すべく準備中とのこと。
アムステルダムのCODAM、パリの42、共に校内の共通語は英語。
18歳以上であれば誰でも応募できます。
気になる方、ぜひぜひ今後の情報を追ってみることをおすすめいたします。

CODAM ロゴ
CODAMロゴ。ロゴ内に使われている色は内装などいろいろな所で象徴的に目にします。
CODAM 階段横
階段脇から。リラックススペース、自由に使えるミーティングスペースなど。
CODAMリラックススペース
リラックススペース。楽器などが揃う音楽ルームもあり。
アムステルダムの美術館などでもちょくちょく見かける・・・? 大型チェス
2019/Oct/19
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