obaの絵本コーナー

泣き出した子供・・・オランダのお母さんの対応が神がかって見えたという話2019/Sep/02

週末の夕飯時、人気もまばらな図書館でのひとコマ。

ミニソファに陣取った自分の背後には、
2歳くらいの女の子、そのお母さんと、おそらくおばあちゃん、
の3人連れ。

お母さんとおばあちゃんはなんだか心配事か悩み事があるのか、妙に神妙な声で話をしています。
(内容は全くわかりませんでした…自分のオランダ語力の脆弱さったら…)

その深刻なトーンはよそに、ちびっ子はパタパタとフロアを走り回り、何か見つける度にママに報告。

「ママー!カイク!(ママー!見て!)」

・・・その声のかわいさったら。
声しか聞こえていないけれど、まるで天使です。

「ママー」

「ママー!! カイク!!!」

「ママー!!!」

ちびっ子は図書館が物珍しいのか、楽しくて仕方ない様子でママを何度も呼びます。
2分も経たないうちに中断されるお母さんとおばあちゃんの会話。
その度にお母さんは深刻な会話を中断し、明るい声で

「素敵ね」
「そうなの?すごいわ!」

的に返しています。

うん、うん、あったよな・・・そんな時期・・・
ちびっ子の愛らしさに悶絶しつつも遠い目をする自分。

子育てしている(していた)人にはものすごくよくわかる、と思うのですが、こんなにかわいくあどけない子供の相手をしていて、しんどいことなんてある?というのは愚問であって。

どんなにかわいくても、大事な自分の子供でも。
数分毎に自分の行動、やりたいこと、積み重なるばかりにみえるタスクを延々と中断させられ続ける・・・のは地味にキツい。
(ちなみに上記項目の割合はやりたい事2%:積み重なるタスク98%くらいだと思う)

テンションが上がっていくようにも感じるちびっ子と、疲労感を増しているようにみえるお母さんとおばあちゃんの深刻な会話。

しばらく「ママー!見て!」が繰り返された後。

「ママーーーーーーー(泣き声)」

ちびっ子・・・どこかをぶつけたか、転んだようです。

あるある、うん、あるよ・・・ご機嫌で遊んでいる時ほど必ず何かアクシデントがあるんだよ・・・
また遠い目をする自分。

どうするだろう?っとちょっと気になっていたけれど、
お母さんは知らんふり、おばあちゃんとの会話を続けています。
声のトーンから推測するに、たいしたことではなさそう。
オランダの子育ては結構な放任主義、と聞いたこともあります。

でもやはり・・・ちびっ子はママを呼び続けます。

「ママー」

「ママー 痛いよーーー」



しばらくちびっ子が泣いていた後、やっとお母さんが動きました。
「お願いだから・・・大人と会話する時間をちょうだい」
という心の声が脳内に勝手に再生されつつ・・・

背後で感じるふっと吸い込む息使い。
しゃんと背筋を伸ばして気合をいれたかのようです。

なだめに行くのかな、こういう時は抱っこなのかな・・・
との予想とはうらはらに。



「ターートゥーー ターートゥーー」

!!!


おかあさん、救急車の音を口ずさみながら子供のもとへ。
(”タートゥー” というのは日本で “ピーポー” にあたる擬音)


「救急車が到着しました。怪我人はどちらですか?」
「あなたですか?お名前は?」
「どこが痛いのかな? 何があったの?」


芝居がかった口調でちびっ子に訪ねます。
笑い声を交えつつ、こたえるちびっ子、
おかあさんはギュッとハグして

「すごいね!ちゃんと言えたね!素敵だわ。」

ちびっ子はもうご機嫌。
おかあさん・・・お見事です。


なんというか・・・子育ての「技術」を垣間見た気がします。

子供の「かまって」願望を真っ向から受け止め続けると疲弊する・・・というだけではなく。
子供自身もますます「関心を引く」こと、実はたいしたことのない「痛いところ」に注力してしまう気がするのです。

もちろん大事故でないことが大前提ですが、起こってしまった不運なアクシデントについては「気分を変える」ことが一番で。
こどもの「できた!」という満足感、自尊心につなげつつ、さらっとムードを変えたおかあさんの手法。

本当に、チビが小さい時に知っておきたかった・・・

心の中で膝を打ちつつ。
子育て、みんながんばってるんだよなあと。
くつろいでいるふりをしながら背後の小さな出来事に勝手に集中していた妙な東洋人・・・だったのでありました。

2019/Sep/02
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